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■レースのスタミナとは何か 「今日の夕食は、スタミナをつけるために焼き肉にしましょう」とか「疲れたからレバニラ炒めを食べよう」とか「夏バテ解消にはウナギが一番」とか、スタミナという言葉には油っこい肉や魚のイメージがつきものである。また、試合の前の最後のスタミナ補給というと、スタミナドリンクを連想する人も多いであろう。 昭和30年代から40年代に外国のスポーツ選手やプロレスラーが来日すると、彼らはステーキをムシャムシャ食べるので、やっぱり外国人は肉でスタミナをつけているんだと感心したものである。あるプロレスラーなど、牛1頭を平らげることができると少年誌に紹介されており、あまり肉を食べたことのなかった私は衝撃を受けて、30年以上も脳裏を離れない。 しかし、欧米も変わった。1990年サッカーワールドカップで西ドイツ(当時)が優勝した時、監督の「皇帝」ベッケンバウアーは選手の食事について、「練習期には肉を含め全ての栄養素をまんべんなく取るが、試合前は糖質とビタミンを多く含む食品が中心だ。選手の食事もトレーニングと同様、科学的に考えられている。もっとも私が現役の頃は、練習期も肉、試合日も肉だったけれど」と語っている。大リーグ往年の名投手ノーラン・ライアンも、5000奪三振を記録した頃の登板前の食事は、パンとシリアル、バナナとメロンに100%オレンジュースとコーヒーである。栄養的には糖質とビタミンにカフェインが少々といったところである。 日本は、世界でも有数の飽食の国になった。大事な試合の前にしか肉が食べられないということもない。それなら、トレーニング期に肉や魚や乳製品を摂取し、身体を消耗から回復させて基礎体力という“スタミナ”を養おう。これは地味な努力であるが、じわじわと効果
が現れてくる。そして、レースの日には消化の良い食品で糖質を摂取し、筋肉にグリコーゲンを十分に貯える。これがレース“スタミナ“源になる。レース後半にスタミナが切れてしまう選手は、レース中にも糖質の補強をして、後半のスタミナを維持する。これが理にかなった栄養補給だ。 |
| ■レース中のドリンクに何を選ぶか? | |
1928年のオリンピックでさえ、マラソン出場選手がどのようなスペシャルドリンクを飲んだかが記録に残っている。当時は、砂糖入りの紅茶、蜂蜜レモン水などとともに、牛乳も飲まれていた。 |
| ■ハイポトニック(低浸透圧) |
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この時摂取するドリンクは、おなかにたまらず、速やかに腸から吸収される必要があるので、デキストリンを用いたものが適している。ブドウ糖や砂糖で濃いめのドリンクをつくると、ドリンクの浸透圧が高まり、胃にたまってしまう。しかし、同じ糖濃度でもデキストリンを用いると低浸透圧(ハイポトニック)に保てるので腸への移行が速い。この理由はなぜか。第1に、浸透圧の高いドリンクは、胃の中で水分により薄められてから腸に送られる。運動していない時は、胃からの水の分泌が円滑に行われるが、レース中は、体内に水が不足している状態であるから、なかなか薄めることができず胃にたまってしまうのである。第2に、溶液の浸透圧はモル濃度に比例するので、分子が大きい方が浸透圧を低く保てる。しかし分子が大きすぎるとデンプンのように溶けにくく、ドリンクには適さない。よって、ブドウ糖5〜10分子のデキストリンが、単体のブドウ糖よりも胃から腸への移行が速く、かつサラッとしていて、最も効果
的なエネルギードリンクの素材となり得る。 |